長野県上田市の下田眼科様は、さまざまな眼疾患手術にも対応する地域医療を支えるクリニックに位置付けられており、その外来患者数は1日当たり平均約200人に上ります。複数のスタッフ・医師で日々対応をしていましたが、慢性的な長い待ち時間や待合室の混雑、駐車場不足などが課題となっていました。
診察受付後は予約の有無や新患・再診などの情報を元に、受付時間枠内で患者の順番を組み換え、検査や診察に案内を行いますが、予約の無い患者は空き状況を見て、効率的に順番を割り振る必要があります。既に導入されていた電子カルテシステムでは、受付人数全体の把握はできるものの、各工程(受付・検査・診察・会計など)の待ち人数詳細の把握ができないため、最適な割り振りが難しく、慢性的な混雑の一因になっていました。そこで、各工程の混雑状況の可視化を行う方法として、自動で読み取りができるRFIDを活用し、効率的な運用を目指すことになりました。
システム導入に際し、スタッフの作業負担が増えることは絶対に避けなければならないため、元々使用していたカルテラックに、アンテナとRFIDリーダーを設置することで、今まで通りのスタッフの運用を目指しました。カルテを入れるケースにRFIDタグを取り付け、各工程のカルテラックに設置したリーダーでRFIDタグを読み取ることで、工程ごとのカルテ数=患者数を収集できるようにしました。得られたカルテ情報を共有モニターに一覧表示することで、スタッフや医師に各工程のリアルタイムな情報連携が可能となり、混雑状況に応じた柔軟な調整や対応がとれるようになりました。これにより、患者の混雑緩和を可能としただけでなく、スタッフの労働環境改善にもつながりました。
当院では、外来の混雑に伴う待ち時間の長時間化という課題がありました。眼科では医師の診察だけでなく、視力検査や眼底検査など、院内で行う検査項目が数多くあり、受診された患者一人ひとりに最適な工程や動線を組んで診療を行う必要があります。従来は、スタッフが各部署のカルテラックを目視で確認し、検査室や診察室の混雑状況を把握していましたが、院内の状況をリアルタイムに把握・共有することが難しく、効率的な業務の障壁となっていました。今回RFIDシステムの導入により、検査室や診察室、会計などの各部署の混雑状況を、電子カルテ端末からリアルタイムに確認できるようになりました。これにより、適切なタイミングでの患者対応が可能となり、待ち時間の削減、効率的な業務の大きな助けとなっています。(院長 下田幸紀様)