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Technology 技術情報

RFIDとは?

RFID(Radio Frequency IDentification)とは、電波や電磁波を用い、非接触でタグのID情報を読み書きする技術です。以前から交通系ICカードやIDカードなどで使用されてきましたが、最近では、RFID技術の進歩とRFIDタグやRFIDリーダーなどの低コスト化により、アパレルや図書館など、私たちの身の回りでも急速にRFIDが普及しています。

身の回りのRFID技術:アパレル、IC乗車券、製造工程管理、会員カード、社員証、学生証、図書館 貸出管理

RFIDの特徴

RFIDには、非接触一括読み取りや隠れていても読めるなど、バーコードにはない優れた特徴があります。反面、金属や水分の影響を受けたり、読まなくていいものまで読み取ってしまうなどのデメリットもあります。近年はRFIDタグの低コスト化も進みつつあるものの、バーコードとはコストにも大きな差があるため、それぞれの特徴を理解し、解決したい課題や運用に合った技術の選択が大切になります。

RFIDのメリット:一括で読み取りできる、離れていても読める、隠れていても読める、高い認識率、データの書き換えが可能、高セキュリティ、RFIDタグのデメリット:金属や水の影響を受けやすい、バーコート比べて価格が高い、ICチップが破損する可能性がある
バーコード運用とRFID運用の比較(例:倉庫内の棚卸し)
  • バーコード運用の場合

    ・バーコードは一つずつを確実にスキャンする必要があります。棚にある製品をスキャンする場合、作業者は立ったりしゃがんだりするため負担がかかります。
    ・バーコード印字部分が破れたり、隠れたり、汚れているとスキャンできません。
    ・棚の奥や箱の中にあるも場合は、取り出して読み取る必要があります。
    ・対象物が見つからず捜索する際には、目視で探すため慣れてないと時間も手間もかかり、作業者の負担となります。

  • RFID運用の場合

    ・離れた位置から一括で読み取りができます。
    ・目視ではRFIDタグが確認できない棚の奥の物や箱やケースに入った物でも、RFIDの電波が届く範囲であれば読み取ることができます。
    ・捜索時はRFIDリーダーでIDを指定して読み取ると、RFIDの電波強度の強弱からおおよその位置を特定できます。RFIDリーダーの画面や音で確認が可能です。

RFID活用のポイント

RFIDは万能ではないため、読み取りを100%に近づけられるように運用の見直しや変更を行ったり、不具合が発生した場合の対応方法を事前に検討するなど、その特徴を十分に理解した上で、慎重に導入・運用を行う必要があります。特にRFIDが苦手とする金属や水分を含むものを管理したい場合は、金属対応のタグを用いたり、金属から少し離して設置するなど(インデックスタイプ・つり下げタイプ)、管理対象物にあったRFIDタグの選定や取り付け方法の検討が非常に重要になります。また、読み取り用のRFIDリーダーも、台車に載せたまま読み取りたい場合にはゲート型、人が手に持って歩きながら読み取りたい場合はハンディー型、机上で作業する場合やラインに組み込む場合は卓上型や据え置き型など、目的や用途に合わせて、正しく機器を選定する必要があります。

金属や水分への対応:金属対応タグを使う、金属から離して取り付ける、インデックスタイプ(飛び出るタイプ)、つり下げタイプ、機器の選定:ゲート型RFIDリーダー、ハンディー型RFIDリーダー、卓上型RFIDリーダーなど用途に合わせて選ぶ、RFIDタグの破損:壊れた時の運用を事前に決めておく

RFIDタグの種類

RFIDタグ、 RFタグ、ICタグ、電子タグ、電子荷札などさまざまな呼び方がありますが、大きな違いはなく、全て同じものを指します。ここではRFIDタグやICラベルなどと表現しています。
RFIDタグには大きく分けて電池を持たないパッシブタグ、電池を内蔵したアクティブタグやセミアクティブタグがあります。アクティブタグは電池を使って自ら電波を発するため、電池を持たないパッシブタイプより通信距離が長く、自発的に通信を行えるなどの利点もありますが、電池寿命による交換などメンテナンスが必要です。

RFIDタグの種類	電池を内蔵するアクティブタイプと電池を持たないパッシブタイプ、その両方の特長を併せ持つセミアクティブタイプの説明

RFIDタグについて(パッシブタイプ)

価格が比較的安いパッシブタイプは近年急激に普及が進んでいるタイプであり、使用用途や求められる耐久性によりさまざまな形に加工して使用されています。大きく分けて、ラベル(シール)タイプや樹脂タイプ、紙タイプなど、目的に合わせ最適な形状の物を選んで使用します。
一般的に1回~数回程度の使い捨て用途やあまり強度を必要としない場合は、ラベル(シール)タイプや紙タイプが使用されます。反対に屋外など耐久性や対候性が求められる環境で使用する場合や、屋内でも繰り返し使用する用途の場合には樹脂タイプが使用されます。用途や予算によってはラベルタイプをケースに入れたり、カバーで保護することで繰り返し使用している場合もあります。どのタイプでも使用中に壊れないという事はないため、破損した際のリカバリー方法までを検討の上運用をスタートします。

ラベルタイプ:書類管理・資産管理・在庫管理などに利用されるラベル(シール)タイプのRFIDタグ、樹脂タイプ:工程管理・資産管理・レンタル品管理、IDカードなどで利用される樹脂で形成された堅牢性のあるRFIDタグ、紙タイプ:アパレル・アミューズメント・おもちゃなどで利用される、紙で形成されたRFIDタグ

TOPPANエッジのRFIDタグ製品ラインアップは下記製品ページに詳しく紹介しています。また、RFIDで使用される周波数についてもっと詳しく知りたい方は下記「各周波数の特徴」のページををご覧ください。

RFIDタグの基本的構造(例 パッシブタイプ)

RFIDタグの構造は、中にインレット(またはインレー)が入っています。インレットとは、ICチップとそれに接続したさまざまな形状のアンテナで形成されたものを指します。
ICチップは数μmサイズの非常に小さなもので、その中に、記憶部、電源整流部、送信部、受信部の四つの区分を有し、それぞれが働きを分担して通信を行っています。一見するとただのラベルや紙タグでも、高い品質が求められる電子製品です。

RFIDタグ(ラベルタイプ)断面イメージ:紙・粘着剤・ICチップ・アンテナ・PETフィルム・粘着剤・剥離紙の層構成からなる、インレット部:PETフィルム・アンテナ・ICチップからなる、ICチップ部:記憶部・電源整流部・送信部・受信部からなる

RFIDリーダーについて

パッシブタイプのRFIDタグを読み取る装置(RFIDリーダー)には、用途ごとにいろいろな種類があります。例えば、倉庫などRFIDタグが近くに沢山あるような場所で、出荷する物のみを確実に読み取りたい場合にはトンネル型RFIDリーダーがおすすめです。また、台車に積んだRFIDタグ付きの荷物をポイント通過時に一括で読み取りたい場合はゲート型RFIDリーダーが便利です。屋内外の色々な場所で使用したいならハンディー型RFIDリーダー、勤怠管理や図書館の貸し出し管理など固定された場所で使用する場合は卓上型や据え置き型RFIDリーダーがよく使用されます。また、用途によっては組み込み型のものを使用する場合もあります。

トンネル型、ゲート型、据え置き型、ハンディー型、卓上型

※リーダー使用時には構内無線局または陸上移動局への電波利用申請が必要です。ただし電波出力が250mW以下の場合、申請は不要となります。電波利用申請の詳細についてはこちらをご覧ください。

  • 各周波数の特徴

    RFIDでよく使用される周波数について。各周波数の特徴や通信の仕組みをご紹介しています。

  • (参考)通信原理

    RFIDの通信原理はRFIDタグとリーダー・ライターのアンテナが電波によって通信し、データのやりとりを行います。詳細はこちらのページの「通信方式」をご覧ください。

    通信原理イメージ

    通信手順