運用イメージ
大型産業用機械の製造現場では、製品が完成して試験運転を実施した後に「出荷のための分解・梱包」という複雑な工程が存在します。対象となる構成部品は、大型の構造体、中・小物部品からボルト・ナット類まで数百点以上におよび、これらを正確に仕分け、梱包・出荷する必要があります。
従来の運用では、紙の出荷リストに基づき、作業者が目視確認と手書きチェックを行うアナログな手法が中心でした。「いつ・誰が・どの部品を・どの箱に収めて出荷したか」という情報が紙のリストのみに依存していたため、情報の共有化や精度だけでなく、属人的な運用からの脱却が課題となっていました。
特に、納入先からの問い合わせ時には膨大な紙のリストを確認する必要があり、回答までに多大な時間と労力を要していました。また、同一顧客へ複数台の装置を同時に出荷する際には、部品の取り違えを防ぐための管理負荷も発生していました。
現場のDXを推進し、こうした課題を解消することを目的に、RFIDを活用した分解出荷品管理のデジタル化の取り組みがスタートしました。
まずはじめに、現場での実現妥当性を見極めるための事前検証を実施しました。
一般的なRFIDタグを金属製品に直接貼付すると、電波干渉が発生し読み取りが困難なため、通常では割高な金属対応のRFIDタグを使用します。しかし、大小様々で多様な形状の部品ごとに専用のRFIDタグを使い分けることは、運用・コストの両面で現実的ではありません。そこで、比較的低コストな非金属対応のシールタイプのRFIDタグを用いた検証を行いました。
汎用品のシールタイプで積層対応の「0880ラベル」であれば、運用を工夫することで、金属製品が多い環境下でも、想定の運用ができることが検証で確認できました。あわせて、部品の形状や材質によりどうしてもRFIDタグでの運用が困難な一部の部品については、QRコード読み取りを併用することにしました。
運用面では、従来の「リストによる目視確認」を「RFIDタグの貼り付けと読み取り」に置き換える運用フローを構築。これにより、作業と同時に正確なデジタルエビデンスの収集が可能となりました。また、梱包時に「どの部品をどの箱に梱包したか」をシステム上で紐付けることで、出荷管理の厳正化を実現しています。現在は現場の既存フローと並行し、特定拠点での部分運用を通じてデータの蓄積を進めています。
本運用を起点にアナログ運用から脱却し、更なる現場のDX化推進の取り組みとして、今後は複数拠点や倉庫間での分解出荷品管理への展開を予定しています。
さらに、納入先での組立作業・設置時における部品捜索への活用も段階的に広げるなど、現場の属人化と負担を軽減し、高精度なトレーサビリティを目指します。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。