いますぐ使える!お役立ち資料

[eBook]RFID導入の社内承認を勝ち取る5つのポイント

ダウンロードはこちら

Column コラム

RFIDの導入が進まない理由と企業が直面する課題・失敗例【業界別ポイントも解説】

RFIDは在庫管理や物流の効率化を目的として導入が期待されている技術です。しかし、製品や商品ひとつひとつを管理するシーンでの利用は思ったほど進んでいません。本記事では、RFIDがなぜそのような分野では爆発的には普及しないのか、その背景や現場でよく起こる課題、失敗しやすいポイント、そして業界ごとの課題や導入を成功させるための具体策を解説します。

RFIDが爆発的には普及しない理由

RFIDは多くの現場で期待されていますが、普及のスピードは当初の期待感ほど急速な導入が進められているとは言い切れません。ここでは、企業や現場担当者が感じている主な障壁について解説します。

導入コストが高い

RFIDの導入には、初期投資や運用コストの負担が大きいという課題があります。

RFIDタグやリーダーなどのハードウェア費用に加え、システム構築・現場展開コストも必要です。特に管理対象が多い現場では初期投資額が膨らむ傾向にあります。RFIDタグ単価は年々下がっていますが、全体コストとのバランスを考えると「割に合うのか」と導入をためらう企業も少なくありません。

関連リンク:RFIDタグの価格は?必要なアイテムと導入コストまでわかりやすく解説

既存システムやインフラとの連携が難しい

RFIDを現場で活用するには、今使っている在庫管理システムや生産管理システムとRFIDのデータを連携させる必要があります。しかし、システムが老朽化していたり、独自仕様で作られていたりすると、追加の開発や設定変更が必要になり、その分、導入や運用の手間・コストが増えてしまいます。結果として、現場の業務フローにうまく組み込めず、期待した効果が出ない場合もあります。

現場での読み取り精度の問題

RFIDの読み取りは、作業環境や管理対象物の種類によって精度にばらつきが出ることがあります。

例えば、金属や液体が近くにあると読み取りにくかったり、棚の奥のRFIDタグがうまく認識できないこともあります。「思ったほど自動化できない」「結局、手作業が残ってしまう」といった声も現場でよく聞かれます。

関連リンク:電波の金属干渉問題を徹底解決!製造・医療現場のRFID読み取り精度を向上させる技術と対策

情報管理やセキュリティ面の不安

RFID導入により、商品や在庫の管理が効率化できる一方、RFIDタグ情報を無線通信で読み取るため、第三者による不正な読み取りや、RFIDタグの複製など、新しいタイプのセキュリティリスクも無視できません。

こうしたリスクへの懸念が拭えないことが、導入の障壁になることもあります。

現場で起こりがちなRFID導入の失敗例

RFIDは業務効率化や現場の省力化を期待して導入される一方、思わぬ失敗やトラブルも発生しがちです。ここでは、よくある失敗パターンと、導入前に押さえておきたいポイントをまとめます。

失敗例① 現場調査・事前検証の不足

よくある失敗事例

限られたスケジュールやコストで導入を急いだ結果、十分な現場ヒアリングやパイロットテストが行われず、「実際の動線や作業環境に合わない」「RFIDタグがうまく読み取れない」などの問題が起こってしまうことがあります。

事前検証のチェックリスト
  • 実際の作業現場でパイロットテストを実施したか
  • RFIDタグ取り付け位置・動線を現場ごとに確認したか
  • 導入効果・問題点を現場担当者と共有できているか

失敗例② 運用設計・教育体制の不備

よくある失敗事例

新しい業務フローや端末操作に関する教育が不十分で、「結局、手運用に戻ってしまう」「端末操作ミスが頻発」など、現場がRFIDを使いこなせないといった問題が起こります。

運用設計・教育のポイント
  • 新フローや操作説明会を実施し、現場全体に周知できているか
  • マニュアル・操作手順を実際の現場作業に即して作成したか
  • 導入初期には、現場からの相談やトラブルにすぐ対応できるサポート担当や窓口を設けたか

失敗例③ システム連携・データ整備の遅れ

よくある失敗事例

システム担当者だけでRFID導入を進めた結果、現場の業務フローとうまく合わず、一部の現場で運用が止まってしまいます。例えば、現場が新しいシステムに戸惑い、最終的には「Excelと手作業を併用する」という事態になるケースもあります。

システム連携のチェックポイント
  • 現場担当者とIT部門が一緒に、導入後の運用手順や必要な機能をすり合わせているか
  • 品番や棚番など、現場管理に必要なマスターデータをきちんと準備・整理しているか
  • RFIDデータが他システムとうまく連携できるか、また現場業務に支障が無いか、事前にテスト運用を行ったか

失敗例④ 効果検証・フィードバックの不足

よくある失敗事例

RFIDを導入しただけで満足してしまい、現場からの不満や改善要望が十分に応えられていないケースがあります。「現場でうまく使えていない」「不便な点が改善されない」といった問題が放置された結果、形だけの運用になってしまうことも珍しくありません。

効果検証・改善のポイント
  • 導入後の現場アンケートやヒアリングを実施しているか
  • 導入効果(時間短縮・作業ミス削減など)を定量的に測定できているか
  • フィードバックに基づいてシステム・運用の見直しを続けているか

業界別に見るRFID普及のハードルと対策

RFIDの導入は、業界や現場の事情によって導入のハードルや対策も大きく異なります。ここでは製造業、医療業界、物流業界、金融業界の主な課題と、その突破口を紹介します。

まずは下記の表で、主要4業界それぞれの主な課題と対策をまとめました。詳細は各パートをご覧ください。

業界 主な課題 対策
製造業 多品種・少量生産、現場環境による読み取り精度低下、システム分断 工程ごとの小規模導入、現場検証、用途に合ったRFIDタグ選定
医療業界 個人情報・医薬品管理の厳格さ、衛生・安全基準、現場教育の徹底 プライバシー対策、医療用RFIDタグ、現場教育の強化
物流業界 拠点・協力会社で業務ルールやシステムが異なる、RFIDタグ紛失・破損リスク 標準化工程から限定導入、耐久性RFIDタグ・保護カバーの活用
金融業界 情報漏洩リスク、厳格なセキュリティ要件、用途の限定 厳格な認証・運用設計、限定用途での段階導入

製造業での導入障壁と対策

主な導入障壁
  • 多品種・少量生産現場では、RFIDタグの種類や貼り付け方法が複雑化しやすい
  • 工程ごとに使うシステムが分かれている場合、データ連携や一元管理が難しい
  • 金属部品や油分の多い現場は読み取り精度にも課題が出やすい
対策・工夫
  • 最初から全工程に一気に導入せず、「棚卸し作業」や「仕掛品管理」など、効果が分かりやすい工程から小規模にテスト導入する
  • RFIDタグの貼り付け方や設置場所を、現場担当者とRFIDベンダーが一緒に検証し、簡易運用テストを実施して最適な運用方法を探る
  • システム間のデータ連携には、クラウドサービスや既存ERPとの連携ツールを活用する

医療業界での導入障壁と対策

主な導入障壁
  • 患者情報や薬剤データなど、個人情報・医薬品管理の厳格さが求められる
  • 医療機器や薬品など現場ごとの衛生・安全基準も高く、RFIDタグの選定・管理に特別な配慮が必要
  • RFIDの運用ルールや機器操作への現場スタッフの教育が徹底できていないと、ヒューマンエラーにつながる恐れがある
対策・工夫
  • 医療用に設計されたRFIDタグ(耐薬品性、滅菌対応などの導入)や、患者情報へのアクセス制限を実施する
  • 現場スタッフへの教育を段階的に行い、操作ミス防止や情報漏洩リスクを低減させる
  • 管理システムや院内ネットワークとの連携は、専任ベンダーや外部専門家のサポートを活用する

物流業界での導入障壁と対策

主な導入障壁
  • 拠点や協力会社ごとに業務ルールやシステム仕様が異なるため、統一運用が難しい
  • パレットやコンテナ、トラックなど、RFIDタグの貼り付け対象が多い
  • 移動や衝撃が多い現場ではRFIDタグが外れたり破損したりするリスクが高まる
対策・工夫
  • まずは入出庫管理や棚卸しなど、全拠点で標準化しやすい工程から導入を始める
  • 管理対象を絞り、頻繁に移動するパレットやコンテナなど「使い回し資材」から段階的に導入する
  • RFIDタグの紛失・破損を防ぐためには、落下や衝撃に強い耐久性の高い工業用RFIDタグや、専用の保護カバーを利用する

例えば、屋外の輸送現場では耐候性や耐水・耐衝撃性のRFIDタグが多く使われています。

金融業界での導入障壁と対策

主な導入障壁
  • 機密性の高い文書や記録メディアを扱うため、セキュリティ要件や社内審査・監査のハードルが高い
  • RFID通信の不正読み取りリスクなど、情報漏洩の懸念が根強い
対策・工夫
  • 厳格な認証・アクセス権管理を設計し、物理的な管理(警備、セキュリティゲート)とRFIDを組み合わせて運用する
  • まずはセキュリティ強化が最優先される「貸金庫」「入退室管理」など、限定的な用途から段階的導入が主流
  • 実際の導入事例や、外部監査・規制要件を踏まえた運用体制づくりを重視する

RFID導入を成功に導くためにできること

RFIDを現場で本当に使いこなすには、計画から運用まで一貫した進め方が大切です。ここでは導入の手順と実践ポイントを紹介します。

導入目的や現場の課題を明確にする

まずは、「なぜRFIDを導入したいのか」「どんな効果を期待しているのか」を明確にします。例えば「棚卸し作業の時間短縮」「資産管理のヒューマンエラー削減」など、具体的な課題を洗い出しておくことで、後から導入範囲の拡大や効果検証も行いやすくなります。

現場担当者・管理者へのヒアリングを丁寧に行い、現場と経営層の認識ギャップを解消することが重要です。

パイロット導入で小さく始める

いきなり全社や全工程にRFIDを導入するのではなく、まずは特定の工程や拠点でパイロット導入(試験運用)を実施します。

現場ごとにRFIDタグの貼り付け位置やシステム連携、作業手順を実地で検証し、スタッフの声や不具合をフィードバックして反映させることが、スムーズな定着と後戻りしない改善につながります。

段階的に業務フローやシステム連携を広げる

パイロット運用で得られた成果や課題をもとに、少しずつ業務フロー全体や既存システムとの連携範囲を広げていきます。

一気にすべてを切り替えず、現場やIT部門と一緒に優先度を決めて進めることで、トラブルや運用混乱も防ぎやすくなります。

外部パートナーや専門ベンダーと連携する

RFIDの導入・運用は、現場や業界ごとに細かな工夫やノウハウが求められます。

現場調査・システム構築・運用サポートなど、経験豊富な外部パートナーや専門ベンダーを活用することで、自社だけでは気付きにくい課題にも対応できます。

TOPPANエッジでは、お客さまのご要望や現場の課題を丁寧にヒアリングし、要件定義から現場検証、RFIDタグ・システムのカスタマイズ開発、テスト運用、本番導入、保守まで、一貫したサポート体制を整えています。

RFID導入前の簡易テストや、現場環境を再現できる専用検証施設(RFIDSTUDIO®)もご利用いただけます。

現場負担を最小限に、スムーズにRFIDシステムを導入したい場合は、ぜひご相談ください。

RFID・IoT導入ステップ

RFIDが爆発的には普及しない理由と導入成功のヒント

RFIDの導入には、コストや現場負担、システム連携、セキュリティ対策など、さまざまな障壁があります。しかし、そうした課題をひとつずつ整理し、現場の声を反映したステップで導入を進めることが、現場に根付くRFID活用への近道です。

TOPPANエッジでは、多様な業界でのRFIDソリューション導入実績を活かし、お客さまの業務特性に応じた最適なシステム設計を実現します。導入前の要件定義から運用開始後のサポートまで、一貫したサービス提供により、スムーズなシステム導入をサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。

製造業向けRFIDソリューション

医療・医薬向けRFIDソリューション