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Column コラム

RFIDの通信距離とは?周波数帯別の特徴と距離を決める四つの要因を解説

RFID導入を検討する際に「どのくらいの距離で読み取れるのか」「通信距離はどうやって決まるのか」「用途に応じてどの距離を選べばよいのか」といった疑問を持たれていませんか。本記事では、RFIDの通信距離に関する基本知識とその要因、実際の活用場面でのメリットまで解説します。適切な通信距離を理解することで、業務効率化を実現するRFID導入が可能になります。

RFIDの通信距離とは?基本的な仕組みと距離の範囲

RFIDの通信距離を理解することは、適切なシステム導入の第一歩です。まずは通信距離の定義や基本的な仕組みについて改めて整理し、適切な選択の基準を把握しておきましょう。

RFIDの通信距離の定義と概要

RFIDの通信距離とは、RFIDリーダー(リーダー・ライター)でRFIDタグ(ICタグ)を読み書きできる距離のことを指します。この通信距離は、短いもので数mmから、長いもので10m程度(読み取り時)と幅広い範囲があります。通信距離の範囲は使用する周波数帯や通信方式によって大きく異なり、用途に応じて最適な距離を選択することが効果的なシステム構築に必要です。

従来のバーコードシステムでは、リーダーをバーコードに直接かざす必要がありましたが、RFIDでは電波や磁界を利用することで離れた位置からの読み取りが可能です。この「離れた距離での読み取り」こそがRFIDの最大の特徴であり、様々な業務効率化を実現する基盤となっています。また、RFIDは目視できない場所にあるタグも読み取ることができるため、箱の中や積み重ねられた商品の管理においても威力を発揮します。

通信方式による距離の違い

RFIDの通信方式は、大きく「電磁誘導方式」と「電波方式」の2種類に分けられます。これらの方式により、通信距離の特性が大きく異なるため、導入前に理解しておくことが重要です。

  • 電磁誘導方式
  • コイル型のアンテナを使用し、磁界を利用してデータのやり取りを行います。通信距離は約50cm以内となりますが、人体や水分、金属の影響を受けにくく安定した通信が可能です。この方式は、確実な個別認証が求められる用途に適しています。
  • 電波方式
  • 平面のアンテナを用いた放射電磁波により通信を行います。数mから10m程度の読み取りが可能で、複数のタグを同時に読み取る性能も高く、大量の物品管理に適しています。物流倉庫や製造現場での効率的な在庫管理に威力を発揮します。

周波数帯別の通信距離一覧

RFIDでは、用途に応じて異なる周波数帯が使用されており、それぞれ特徴的な通信距離を持っています。適切な周波数帯の選択が、システム導入の成功を左右する重要な要素となります。

  • LF帯(135kHz以下)
  • 通信距離が10cm程度と短いものの、金属や水分の影響を受けにくい特性があります。動物の認証管理や工場内の過酷な環境での使用に適しています。
  • HF帯(13.56MHz)
  • 通信距離が50cm程度まで延び、交通系ICカードやNFC決済で広く普及している信頼性の高い周波数帯です。
  • UHF帯(860~960MHz)
  • 通信距離が最大10m程度と長く、複数タグの一括読み取りが可能なため、大規模な在庫管理に最適です。
  • マイクロ波帯(2.45GHz)
  • 通信距離が2m程度となり、他の無線機器との電波干渉に注意が必要ですが、高速データ転送が可能な特徴があります。

パッシブタグとアクティブタグの通信距離比較

RFIDタグは、電源の有無によってパッシブタグとアクティブタグに分類され、用途とコストバランスを考慮した選択が重要になります。

  • パッシブタグ
  • リーダーからの電波を受けて動作するため外部電源が不要で、HF帯で50cm程度、UHF帯で6m程度の通信距離を実現します。低コストで長期間使用可能なため、大量の商品管理や資産管理に適しています。メンテナンスの手間がかからない点も大きなメリットです。
  • アクティブタグ
  • 内蔵バッテリーで動作し、数十m(最大100m以上も可能)の長距離通信を実現できます。高価になりますが、建設現場の重機管理や人員位置管理など、広範囲での追跡が必要な用途に威力を発揮します。定期的なバッテリー交換が必要な点を考慮する必要があります。

RFIDの通信距離を決定する四つの要因

RFIDの通信距離は、複数の要因が複合的に作用して決まります。これらの要因を理解することで、目的に最適な選択が可能になります。

通信方式・周波数帯による影響

電磁誘導方式(LF帯・HF帯)は、リーダーから発生する磁界の強さが、距離が離れるほど急激に弱まり(距離の3乗に反比例)、通信できる範囲が数十㎝程度と短くなります。一方、電波方式(UHF帯・マイクロ波帯)は、電波の強さが距離の2乗に反比例して減少するため、より遠くまで通信でき、数mから十数mの範囲でも安定した読み取りが可能です。

実際の導入では、用途に応じた最適な周波数帯を選択することが重要です。精密な個別認証が必要な場合はHF帯、大量の物品を一括管理したい場合はUHF帯が適しています。導入前の実証実験により、実際の環境での通信距離を確認することで、最適な選択が可能になります。

リーダー・ライターの電波出力とアンテナ

リーダー・ライターの電波出力の強さは、通信距離に直接的な影響を与えます。日本の電波法では、出力レベルにより電波利用申請要件が定められています。

UHF帯RFIDの場合

  • 特定小電力無線局(250mW以下)
  • 通信距離1~3m程度で、総務省への電波利用申請が不要です。
  • 構内無線局、陸上移動局(250mW超~1W以下)
  • 通信距離5~10m程度を実現でき、総務省への電波利用申請が必要になります。

なお、いずれの出力レベルでも、リーダー・ライター用アンテナの指向性(電波の飛ぶ向きや広がり方)も通信距離に影響を与えます。指向性の高いアンテナを使用することで、特定方向への電波を集中させ、同じ出力でもより長い通信距離を実現できます。

RFIDタグの性能

RFIDタグのアンテナサイズは通信距離に大きく影響し、一般的にタグのアンテナが大きいほど通信距離が長くなります。これは、アンテナサイズが大きいほど電波の送受信効率が向上するためです。物理的に、アンテナが大きいほど電波をより多く捉えることができ、リーダーからの微弱な電波でも確実に受信できるようになります。また、タグからリーダーへの応答信号も強く送信できるため、安定した通信が可能になります。

実際にタグを選択する際には、管理対象の物品サイズと求める通信距離のバランスを考慮することが重要です。大型の資産や設備には大きなタグを使用して最大通信距離を確保し、小型商品や書類には小さなタグを使用して実用的な距離での確実な読み取りを実現します。タグの形状や材質も通信性能に影響するため、用途に応じた最適な選択が必要です。

使用環境による影響

使用環境は通信距離に大きな影響を与える要因として十分な考慮が必要です。特に金属、水分、障害物の存在は通信性能を大きく左右するため、導入前の環境調査が重要になります。

  • 金属の影響
  • 金属は電波を反射・吸収するため、金属面へのタグ貼付時は通信距離が大幅に短縮されます。対策として金属対応タグの使用やフェライトシートの活用が効果的です。製造現場や倉庫での金属製設備周辺では、事前の読み取りテストによる距離確認が欠かせません。
  • 水分・液体の影響
  • 水分は電波を吸収するため、液体を含む商品や高湿度環境では通信距離が短くなります。防水タグの使用やアンテナ位置の最適化が重要です。食品や医薬品の管理では、この特性を十分に考慮したシステム設計が求められます。
  • 障害物の有無
  • 壁やガラス、棚などの障害物があると、電波が遮られたり届きづらくなります。材質により電波の反射や吸収特性が異なるため、反射により読みたくないものまで読んでしまう場合もあります。

関連記事:電波の金属干渉問題を徹底解決!製造・医療現場のRFID読み取り精度を向上させる技術と対策

通信距離が長いRFIDのメリットと導入時の注意点

RFIDの通信距離の特性を理解した上で、実際の業務でのメリットと導入時の注意点を把握しておくことが重要です。適切な距離選択により、業務効率化と安全性向上を同時に実現できます。

長距離通信のメリット

通信距離の長いRFIDシステムを活用することで、従来の運用では難しかった業務の効率化と安全性向上を同時に達成できます。「一括で」「素早く」「安全に」情報取得できるため、物流・倉庫などの広範囲かつ効率化が求められる現場で大きなメリットがあります。

  • 作業効率化
  • 物陰に隠れている品物やケースの中に保管されているアイテムも、そのままの状態で一括読み取りが可能です。わざわざ手前の物を移動し、ケースから一つずつ取り出す手間が省けるので、作業の効率化に大きく貢献します。従来の目視確認や個別スキャンと比較して、大幅な時間短縮を実現できます。
  • 安全性向上
  • RFIDの長距離通信により、棚の高所に設置された資材や設備の点検や管理が容易になります。これにより、はしごや脚立、リフトなどの昇降機器を使う必要が無くなり、作業者の安全性が向上します。高所作業による転落事故のリスクを大幅に軽減できる点は、労働安全管理の観点からも大きなメリットです。
  • 応用的活用
  • RSSI(Received Signal Strength Indicator)という信号強度から特定のタグとの距離を計算し、商品の位置情報を取得してロケーション管理に役立てることができます。リアルタイムでの物品位置把握により、さらなる業務効率化を実現できます。

関連記事:ロケーション管理とは?製造業・医療業界での活用と実践方法を解説

近距離通信のメリットと使い分け

通信距離が短いRFIDシステムには、「安全・確実な個別認証」や「誤読防止」が求められる場面で大きなメリットがあります。用途に応じた適切な使い分けが効果的なシステム構築の鍵となります。

  • 安全・確実な個別認証
  • 近距離通信の場合カードやタグを近づけて直接認証を行うため、個別認証が確実に行えるというメリットがあります。たとえば、入退室管理や製品の工程管理では、誰がいつどこにアクセスしたのか、どの製品がどの段階にあるのかを正確に把握できます。これにより、トレーサビリティー(追跡性)が向上するだけでなく、セキュリティ管理や品質の確保などにも役立ちます。
  • 誤読防止
  • 近距離通信のRFIDは、通信範囲が限られているため、複数のタグが同時に読み取られて誤った認証がされるリスクが低くなります。たとえば、社員証やチケット認証の場面では、間違って他の人の情報を読み取ってしまうといったトラブルが起こりにくく、安心して確実な認証や決済が行えます。こうした誤読防止の仕組みによって、セキュリティや業務の信頼性を高めることができます。

導入前の検証と注意点

RFIDシステムの導入を成功させるためには、事前の検証と適切な準備が欠かせません。特に通信距離は使用環境に大きく影響されるため、慎重な検討が必要です。

  • 読み取りテストの重要性
  • RFIDの通信距離は使用環境に大きく影響されるため、導入前には実際の環境での読み取りテストを実施することが重要です。金属製設備の配置、水分を含む商品の存在、他の無線機器からの電波干渉、タグの密集度などの環境要因を実際に確認し、期待する通信距離が実現できるかを検証します。
  • 高出力機器の総務省申請
  • 250mWを超える高出力のRFIDリーダーを使用する場合は、総務省への構内無線局としての登録申請や免許申請が必要です。近年は陸上移動局の施行により屋外使用の制約が緩和されており、申請手続きの簡素化も進んでいます。導入スケジュールには申請期間を十分に考慮することが重要です。

用途に応じた最適な通信距離でRFID導入を成功させる

RFIDの通信距離は、通信方式・周波数帯、電波出力、RFIDタグの性能、使用環境という四つの要因により決定されます。短距離では確実な個別認証や誤読防止が可能で、長距離では効率的な一括読み取りと作業の安全性向上を実現できます。

効果的なRFID導入のためには、まず管理対象と用途を明確にし、導入前の実証実験により実際の環境での読み取り性能を検証することが重要です。それにより、棚卸し作業の効率化や、管理精度の向上、労働安全性の確保を同時に実現できます。

TOPPANエッジでは、多様な業界でのRFID導入実績を活かし、お客さまの業務特性と環境条件に応じた最適な通信距離設定をサポートします。導入前の要件定義から実証実験、運用開始後の最適化まで、一貫したサービス提供により、最適なRFIDシステムの構築を実現します。ぜひお気軽にご相談ください。

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