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Column コラム

ロット管理とは?メリットと注意点、効率的な運用方法を解説

製品の品質トラブルや在庫管理の非効率さに悩む製造現場で、多くの担当者が頭を抱えているロット管理の課題。本記事では、在庫管理工数を削減し、製品トレーサビリティーを確保する効率的なロット管理の実践方法について、導入時の注意点からデジタル化による具体的な改善施策まで、わかりやすく解説します。

ロット管理とは

ロット管理とは、製造業や物流業において、製品や部品を「ロット」と呼ばれる単位で管理する手法です。品質保証と効率的な在庫管理を支える重要な管理方法です。

ロットの定義と意味

ロット(Lot)とは、同一の製造条件下で生産された製品群を指します。製造業では、同じ原材料を使用し、同じ製造ラインで、同じ時期に生産された製品群を一つのロットとして扱います。

ロット管理が必要な場面と活用事例

  • 品質管理が重要な製品での活用
    医薬品や電子機器・半導体などの製造では、品質の一貫性が極めて重要です。同一ロット内の製品は同じ製造条件で生産されているため、品質のばらつきを最小限に抑えられます。
  • 賞味期限管理が必要な製品での活用
    食品業界では、賞味期限や消費期限の管理がロット管理と密接に結びついています。同じ日時に製造された製品は同じロット番号が割り当てられ、これにより賞味期限の追跡や在庫の先入れ先出し管理が容易になります。
  • 工程管理における活用
    製造工程では、原材料の投入から最終製品の完成まで、各工程でのロット管理が行われます。これにより、製造条件の最適化や品質トラブルが発生した際の原因特定が迅速に行えます。

ロット管理とシリアル番号管理の定義の違い

ロット管理が同一条件で製造された製品群を一括で管理する方式であるのに対し、シリアル番号管理は個々の製品を個別に識別・管理する方式です。両者は、管理の粒度と目的において大きく異なります。

それぞれの管理方式に適した製品例

  • ロット管理に適した製品
    食品・飲料、医薬品、化粧品、汎用電子部品
  • シリアル番号管理に適した製品
    自動車、高額な医療機器、スマートフォン、高級時計

ロット管理の四つのメリット

ロット管理を導入することで得られる主要な四つのメリットは以下の通りです。

1. 在庫管理の効率化

在庫管理の効率化は、ロット管理を導入する最も重要な利点の一つです。製品の入出庫をロット単位で正確に把握できることで、在庫状況の可視化が実現します。

具体的には、ロット番号を活用した在庫データベースにより、保管場所や数量の把握が容易になります。また、製造日付や入庫日付に基づいた先入れ先出し(First-In First-Out:FIFO)の原則を確実に実施できるため、過剰在庫や品質劣化のリスクを最小限に抑えることができます。

在庫管理の効率化については、次の記事も参考にしてください。

在庫管理とは?在庫管理を行う目的や効率よい在庫管理方法を解説

2. 不良品の追跡と特定が容易に

製造ロットごとの品質管理:各ロットの製造条件や検査結果を記録することで、品質管理の精度が向上します。同一ロット内の製品は同じ製造条件で生産されているため、品質のばらつきを効果的に管理できます。

不良品発生時の影響範囲の特定:製品に不具合が発見された場合、該当するロット番号から製造時期や製造条件を即座に特定できます。これにより、同じ条件で製造された他の製品の調査や、必要に応じた回収作業を迅速に実施できます。

リコール対応の効率化:不具合が発生した際のリコール対応においても、ロット管理は大きな威力を発揮します。影響を受ける可能性のある製品を正確に特定できるため、必要最小限の範囲での回収が可能となり、リコールにかかるコストと時間を削減できます。

トレーサビリティーの向上

  • 製造から出荷までの履歴管理
    原材料の受け入れから製造工程、出荷に至るまでの全工程をロット単位で追跡できます。これにより、製品の製造履歴を完全に把握でき、品質保証や顧客からの問い合わせに迅速に対応できます。
  • 原材料の使用履歴の追跡
    原材料のロット情報を管理することで、原材料起因の問題発生時も、影響範囲を正確に特定可能です。

トレーサビリティーについては、下記の記事を参考にしてください。

トレーサビリティーとは?意味や重要性、最新技術による活用法を徹底解説

4. コスト削減と業務効率の改善

在庫管理コストの削減
適正在庫の維持により、保管コストを最適化できます。また、在庫の回転率を向上させることで、資金の効率的な運用が可能になります。

人的ミスの防止
ロット番号による管理システムを導入することで、手作業による記録ミスや確認漏れを防止できます。これにより、品質管理や在庫管理の精度が向上し、それに伴う損失を削減できます。

業務プロセスの効率化
データベース化された管理システムにより、在庫状況の確認や履歴の追跡が瞬時に行えます。また、定期的な棚卸し作業も効率化され、作業時間の大幅な削減が可能です。

ロット管理の注意点と対策

適切なロット管理を実現するためには、以下のような課題や注意点を事前に把握し、それに対する具体的な対策を講じることが重要です。

適切なロットサイズの設定

ロットサイズの設定は、在庫コストや生産効率に大きな影響を与えます。過剰なロットサイズは保管コストを増加させる一方で、小さすぎるロットは生産効率や作業の煩雑化を招く可能性があります。

最適なロットサイズを決定する際の考慮ポイント

1. 製品の保管条件:温度管理や湿度管理が必要な場合、ロットサイズを大きくしすぎると保管負担が増加します。
2. 出荷頻度と需要パターン:顧客の注文サイクルや需要のばらつきに基づいて調整することが重要です。
3. 品質検査の要件:必要なサンプル数に応じて、ロットサイズを適切に設定します。
4. 生産設備の特性:設備切り替えコストが高い場合は、ロットサイズを大きめに設定することが有効です。

運用上の課題

ロット管理の運用では、以下のような課題が発生することがあります。それぞれに適切な対応策を講じることが必要です。

1. データ入力ミスの防止
手動でのデータ入力にはミスのリスクが伴います。これを防ぐための対策を以下に示します。

  • 自動認識システムの導入:バーコードスキャナーやRFIDを活用して、データ入力の正確性を向上させます。
  • 二重チェック体制:重要なデータは複数人で確認し、エラーを未然に防止します。
  • 定期的なデータ監査:入力データの整合性を確認し、ミスの蓄積を防ぎます。

2. 管理工数の最適化
ロット管理は工数がかかる作業でもあります。この負担を軽減するには以下のようなアプローチが有効です。

  • 業務フローの見直し:煩雑な作業を簡素化し、負担を軽減します。
  • 自動化可能な業務の特定:手作業で行っているプロセスを自動化システムに置き換え、効率を向上させます。
  • 効率的な記録・報告システム:データベースやクラウド管理システムを活用することで、作業時間を削減します。

効率的なロット管理の実践方法

ロット管理を効率化するためには、テクノロジーを活用し、業務の自動化とデータの正確性向上を図ることが重要です。ここでは、特に効果的な方法として RFID と IoT重量計 の活用について解説します。

RFIDによる自動追跡

RFID(Radio Frequency Identification)は、無線通信を活用して製品や部材の情報を読み取る技術です。この技術を活用することで、ロット管理の精度と効率を大幅に向上させることができます。

主なメリット

  • 入出庫作業の効率化
    手動でのバーコードスキャンを必要とせず、一括でデータを収集できるため、作業時間を大幅に短縮できます。
  • リアルタイムでの在庫把握
    RFIDリーダーを設置することで、在庫状況を常に正確に把握でき、データの即時更新が可能です。
  • 人的ミスの削減
    手入力や目視確認によるエラーを防止し、データの信頼性を向上させます。

活用事例

例えば、物流倉庫では、製品に貼り付けたRFIDタグをゲート型リーダーで読み取ることで、在庫の入出庫状況を一元管理する仕組みが採用されています。この仕組みは、大規模な在庫を抱える企業にとって非常に有効です。

ゲート型・ボックス型RFIDリーダー

IoT重量計の導入

在庫管理をさらに効率化するためには、IoT重量計を導入することも有効です。このデバイスは、重量を測定してデータを自動的に記録する機能を備えています。

主なメリット

  • 在庫数量の自動計測
    重量データから正確な在庫量を算出できるため、手作業での在庫確認が不要になります。
  • データの自動記録
    IoTデバイスがリアルタイムでデータをクラウドに記録するため、在庫状況の即時確認が可能です。
  • 発注点管理の効率化
    庫が一定の閾値を下回った際に自動で通知を送ることで、タイムリーな補充発注が可能になります。

重量センサー付きIoTデバイスについて詳しくはこちらをご覧ください。

SmartMat Cloud/スマートマットクラウド

IoT・RFIDで実現する次世代型ロット管理

効率的なロット管理の実践は、生産性向上やコスト削減に直結します。しかし、現場ごとに抱える課題や条件は異なり、最適解は一様ではありません。だからこそ、柔軟かつ高度な技術を活用したソリューションが必要です。これまで解説してきたように、IoT・RFIDを活用することで、入出庫のスピードと精度向上・在庫状況のリアルタイム把握・管理工数や人的ミスの削減のような業務効率化が可能になります。

TOPPANエッジ株式会社は、IoT・RFIDを中心とした包括的なソリューションを提供し、さまざまな業界の業務効率化を支援してきました。ロット管理に関する課題を抱えている方や導入事例について知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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