棚卸し差異とは
棚卸し差異とは、帳簿上の在庫数量と実際の在庫数量の差のことです。この差異は、毎月または年数回行われる棚卸し作業で明らかになり、多くの企業が直面する共通の課題といえます。
棚卸し差異率の計算式は以下のとおりです。
- 棚卸し差異率(%)= |実在庫数 - 帳簿在庫数| ÷ 帳簿在庫数 × 100
例えば、帳簿上では100個あるはずの商品が実際には95個しかなかった場合、棚卸し差異率は5%となります。この数値が高いほど、在庫管理に問題があることを示しています。
在庫が多い場合と少ない場合の違い
棚卸し差異には大きく分けて二つのパターンがあります。実際の在庫が帳簿よりも少ない場合を「棚卸し差損」、逆に多い場合を「棚卸し差益」と呼びます。
棚卸し差損は、商品の紛失や盗難、入力ミスなどが原因で発生し、会社にとって直接的な損失となります。一方、棚卸し差益は一見プラスに見えますが、これも管理体制の問題を示すサインです。どちらの場合も、正確な在庫把握ができていない状態を表しており、早急な対策が必要です。
会計処理上は、棚卸し差損は費用として、棚卸し差益は収益として計上されます。しかし、いずれも計画外の損益変動となるため、財務計画や利益予測に影響を与える可能性があります。
棚卸し差異が会社に与える三つの悪影響
棚卸し差異が企業経営に与える影響は想像以上に深刻です。ここでは代表的な三つの側面から解説します。
1.キャッシュフローに悪影響がでる
棚卸し差異が発生すると、実際の在庫状況が把握できないため、適切な仕入れ判断ができなくなります。過剰在庫による資金の固定化や、欠品による販売機会の損失など、キャッシュフローに直接的な悪影響を与えます。棚卸し差異率が高い企業ほど、財務状況への影響も深刻になる傾向があります。
2.顧客満足度の低下による売り上げ減少
在庫データが不正確だと、実際には在庫が無いにもかかわらず受注してしまう「過剰受注」や、在庫があるのに機会を逃す「販売機会の損失」が発生します。これらは顧客満足度の低下を招き、長期的な売り上げ減少につながります。
3.現場の作業が非効率になる
棚卸し差異の原因究明や在庫の再確認作業により、本来の業務に充てるべき時間が削られます。また、不正確な在庫情報により、無駄な発注や緊急調達が増加し、業務全体の効率性が低下します。
