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Column コラム

誤出荷はなぜ起こる?原因分析から具体的な防止策まで詳しく解説

製造業や医療機器業界において、誤出荷の問題は品質管理における最重要課題の一つです。特に医療機器業界では法規制や患者の安全に直結するため、その影響は非常に大きいものとなります。また、誤出荷は取引先との信頼関係を損なうリスクを伴い、企業の存続に関わる課題です。本記事では、誤出荷の原因や発生しやすいプロセスを解説するとともに、最新のデジタル技術を活用した効果的な防止策をご紹介します。

誤出荷とは

誤出荷の定義と種類

誤出荷とは、顧客の注文内容と異なる製品を出荷してしまう、あるいは出荷すべき製品の出荷を怠ってしまうことを指します。製造業における主な誤出荷は以下の5種類に分類されます。

  • 製品違い:類似した製品番号や外観を持つ製品を取り違えて出荷
  • 数量違い:注文数量と異なる数の製品を出荷
  • 宛先違い:配送先を誤って出荷
  • 同梱物の誤り:取り扱い説明書や保証書などの付属品の欠落や誤同梱
  • 出荷漏れ:出荷すべき製品の一部または全部が出荷されない

特に医療機器業界では、製品の取り違えが患者の安全に直結するため、厳格な品質管理基準が設けられています。

誤出荷が発生しやすい業務プロセス

物流プロセスの中で、誤出荷は特定の場面で発生しやすい傾向があります。

1. 入荷~保管時

  • 入荷時の製品仕分けミス
  • 保管場所の誤り
  • 類似製品の近接配置

2. ピッキング作業時

  • 製品番号の読み違い
  • 数量カウントミス
  • 作業者の思い込みによる誤選択

3. 出荷・検品時

  • 最終確認の形骸化
  • 急ぎの出荷による確認不足
  • 複数品目の混在による確認漏れ

ピッキング作業の効率化については次の記事も参考にしてください。

ピッキング作業を効率化する進め方|基礎から最新技術まで解説

誤出荷が発生する主な原因

誤出荷にはさまざまな原因が複合的に関わっています。ここでは主要な四つの原因について詳しく解説します。

人的要因による誤出荷

最も一般的な誤出荷の原因は人的要因です。作業者の確認不足や思い込みによるミスは、どんなに優れたシステムを導入していても完全には防ぎきれません。特に問題となるのが、長年の経験による「慣れ」が引き起こす警戒心の低下です。ベテラン作業者であっても、日常的な作業の繰り返しにより、確認作業が形骸化してしまうことがあります。

システムや環境に起因する誤出荷

作業環境やシステムの不備も、重大な誤出荷の要因となります。在庫管理システムが実際の在庫状況をリアルタイムに反映できていない場合、誤った情報に基づいて出荷作業が行われる可能性があります。また、保管スペースの不足は、製品の整理整頓を困難にし、作業効率の低下や誤出荷リスクの増大につながります。

業務プロセスの不備による誤出荷

誤出荷の背景には、多くの場合で業務プロセス自体の課題が存在します。標準作業手順が明確に定められていない、あるいは現場の実態に即していないケースでは、作業者それぞれの判断や経験則に依存した業務遂行となり、結果として誤出荷のリスクが高まります。

特に製造業では、以下のような業務プロセス上の不備が重要な課題となっています。

  • 製品仕様変更時の情報伝達体制の不備
  • 緊急発注や特殊納品要請への対応手順の未整備
  • 季節変動や需要急増時の体制変更ルールの不在

組織的要因による誤出荷

部門間の連携不足も、誤出荷を引き起こす大きな要因です。製造部門、品質管理部門、物流部門がそれぞれ独立して業務を行う中で、重要な情報が適切に共有されないことがあります。

例えば、製品仕様が変更された際、その情報が製造部門から物流部門まで正確に伝達されないと、古い仕様で出荷されてしまう可能性があります。

誤出荷による影響と損失

誤出荷が発生した場合、企業はさまざまな面で深刻な影響を受けることになります。ここでは主な影響と損失について解説します。

企業の信用とブランド価値への影響

誤出荷が企業に与える影響は、単なる製品の取り違えや数量違いの問題にとどまりません。特にB2B取引では、取引先との信頼関係が最も重要な資産となります。一度の重大な誤出荷は、長年かけて築き上げた信頼関係を一気に損なう可能性があります。

医療機器業界では、誤出荷が患者の安全に直結するため、その影響はより深刻です。品質管理体制への信頼性が低下すると、取引停止やペナルティーの発生、新規取引や契約更新への悪影響、さらには業界内での評価低下にもつながりかねません。

経済的損失と業務効率の低下

誤出荷による直接的な経済的損失も看過できません。製品の回収・再送コストに加え、品質管理工数の増加による人件費の上昇、在庫精度の低下による余分な在庫保有など、間接的な損失も発生します。

効果的な誤出荷防止対策

誤出荷を防止するための具体的な対策について解説します。

作業環境と基本ルールの整備

効果的な誤出荷防止には、まず適切な作業環境の整備が不可欠です。現場での具体的な取り組みとして、以下の方法があります。

  • 製品特性に応じた保管レイアウトの設計(類似製品の分離保管、動線考慮)
  • 作業区域の明確な区分け(入荷、検品、ピッキング、出荷の各エリア)
  • 業界基準に準拠した作業手順書の整備と運用
  • 定期的な5S活動による整理整頓の徹底

ロケーション管理について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

ロケーション管理とは?製造業・医療業界での活用と実践方法を解説

従業員教育とチェック体制の強化

品質管理教育プログラムの実施は、誤出荷防止の基本となります。効果的な教育・チェック体制として、以下の施策が重要です。

  • 新入社員向け基礎教育(作業手順、品質管理の基本)
  • 定期的な再教育プログラム(事例学習、最新の管理手法)
  • 部門横断的なクロスチェック体制の構築
  • ヒヤリハット情報の収集と活用による予防措置の実施

デジタル技術による防止策

近年、物流や製造の現場でRFIDやWMS(倉庫管理システム)など、デジタル技術を活用した誤出荷防止策が急速に広がっています。これらの技術を導入することで、以下のようなメリットをもたらします。

  • 在庫管理の精度向上
    リアルタイムで在庫情報を把握できるため、在庫切れや誤出荷のリスクを最小化します。
  • 作業効率の向上
    ピッキング作業時の出荷確認の際にRFIDタグを活用することで、作業者の確認ミスを削減しつつ、スピードアップを図ることが可能です。
  • トレーサビリティーの確保
    製品の移動履歴をリアルタイムで追跡できるため、出荷プロセス全体の透明性が向上します。
  • 人的エラーの削減
    バーコードや手書きによる記録と比較して、デジタル化は作業者の負担軽減とミスの大幅削減を実現します。

特に出荷検品プロセスでは、RFIDが効果を発揮します。出荷前の最終検品時に、RFIDリーダーで製品をまとめて一括読み取りすることで、確認作業を大幅に効率化し、誤出荷を防止します。

ゲート型・ボックス型RFIDリーダー

実際の活用事例についてはこちらもご覧ください。

RFID導入事例|製造業・物流・倉庫での活用方法と導入の流れを解説

RFIDで誤出荷ゼロを目指す

誤出荷の防止には、人的ミスを最小限に抑えるための取り組みが不可欠です。しかし、作業環境やプロセスの見直しだけでは限界があります。そこで、デジタル技術を駆使したシステム導入が重要になります。

IoT技術の活用により、リアルタイムで在庫の状況を把握し、作業効率を大幅に向上させることが可能となります。RFIDやWMS(倉庫管理システム)を活用した高度なトレーサビリティーシステムは、誤出荷を防ぐだけでなく、企業全体の業務効率化やコスト削減にも寄与します。

誤出荷が引き起こす企業への影響は計り知れませんが、IoT技術を活用することで、予防策を強化し、信頼性の高い業務運営を実現できます。導入をご検討されている方は、ぜひご相談ください。

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